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今企業に求められていることは、社会問題をどう解決するか。 堀大輔氏

学生の皆さんはあまり株式投資についての知識がないかもしれません。多くの個人や年金基金、企業などは、投資のために株式を購入しています。ポートフォリオマネージャーとは、顧客である個人や年金基金、企業などからお金を預かり、顧客に代わって資産運用を行う仕事です。単に利益のためでなく社会貢献につながるような株式を買うことが重要だと主張するのがニッセイアセットマネジメントのポートフォリオマネージャー、堀大輔さん。株式の動きは日本の経済・社会を見ているだけでは十分ではなく、世界の動きを把握すべきだと言う堀さんは、社会人になってから海外赴任という形で最初はイギリスのロンドン、次にアメリカのシカゴで勤務した経験があります。「学生時代に一度海外に出ておくべきだった」と語る堀さんに、海外生活で得られたこと、学生へのメッセージについて伺いました。
顧客の資産運用を任される株の仕事 利益だけでなく社会問題の解決につながる投資がトレンド。

開志専門職大学

堀さんのお仕事について教えてください。

堀大輔

株式投資の仕事です。企業を直接訪問して、その企業の株式の価値が適正かどうかを分析します。

開志専門職大学

その投資は誰のためにやっているのですか?

堀大輔

個人、年金基金や企業などのお客様ですね。お客様からお金をお預かりして、株式に投資して、お客様の資産を運用するのです。

開志専門職大学

お仕事の実績について教えてください。

堀大輔

投資の仕事なので、投資した企業の株価が上がる場合はやはり私の実績になります。

開志専門職大学

先ほど企業を訪問するという話が出ましたが、企業の株式の価値を分析するには企業の経営層に実際に会う必要があるのですね?

堀大輔

そうですね。経営者や広報担当者に会って、その企業の株価が妥当かどうかを評価します。今、その企業の経営戦略がどれくらい将来の成長につながるかなどを見極める必要があります。

開志専門職大学

会社のことを深く知るには会うのが一番なのですね。ところで、堀さんの会社は株式の投資を専門にしているのですか?

堀大輔

私の専門は株式投資ですが、会社は日本生命グループの資産運用会社であるニッセイアセットマネジメントという会社です。株式や債券など証券投資を中心にお客様の資産運用を行っています。

堀大輔

また、最近は、企業は自社の利益だけを考えてはいけないという風潮が強まってきています。企業として社会的責務を果たすことの重要性が叫ばれているのです。

開志専門職大学

つまり、自分の会社のお金を増やすだけでなく、社会の役に立つようなことにもお金を使うべきだということですね?

堀大輔

はい。当社は、単に利益を稼ぐ企業に投資するのではなく、社会的責務も果たす会社に投資することを重視しています。それによりお客様は、投資を通じて社会的責務を果たすことに貢献できます。

開志専門職大学

どういう意味ですか?

堀大輔

例えば環境に配慮した企業への投資です。海洋資源が乱獲により減っています。このままだと生態系の維持が難しい状況です。それで、鮭の養殖事業に投資するのです。

堀大輔

養殖事業は生産量をきちんとコントロールでき、良質のものが生産できます。それによって、天然資源の乱獲を防ぐことができ生態系が維持できます。

日本のことだけでなく世界の動きを知る必要がある 希望を出してロンドン、そしてシカゴでの海外勤務へ。

開志専門職大学

環境問題にも貢献できて、株価も上がりそうな企業に投資するということですね? それにしてもお客様のお金を預かるわけですから、難しそうだしプレッシャーも感じそうです。

堀大輔

株式投資の世界には不確定なリスクが付き物です。ですから、株式投資の仕事にはチャレンジ精神旺盛な人が向いていると言えるでしょう。

開志専門職大学

プレッシャーで眠れないときなどあるのでは?

堀大輔

もちろんあります。値動きが激しいときはやはり気になりますね。しかし、お客様に対して、投資の結果だけではなく、投資のプロセスについてもきちんと説明することが重要ですから。それはいつもしっかり果たすように心がけています。

開志専門職大学

海外で働いた経験はありますか?

堀大輔

はい、海外の資産運用会社で合計4年働きました。イギリスのロンドンとアメリカのシカゴです。

開志専門職大学

それは自分で海外勤務の希望を出したのですか?

堀大輔

最初は、日本の株式投資をやっていました。そして2年目くらいの時に「株式投資というのは日本の株式であったとしても、日本の経済・社会の影響だけでなく、グローバルな影響を大きく受ける」ということに気づきました。

堀大輔

つまり、日本のことだけ知っていてもダメだということです。

開志専門職大学

それで海外へ?

堀大輔

はい、海外の株式市場の仕組みはどうなっているか知りたくなり、自分で希望を出しました。さらにアメリカの会計士や証券アナリストの資格の勉強にも取り組みました。

開志専門職大学

海外ではどのような仕事を?

堀大輔

海外の企業を訪問して、その会社のことを調査分析します。

「言わなくても分かってもらえる」は海外では通用しない 日本に関して聞かれる機会多く、改めて母国について考えるように。

開志専門職大学

ロンドンが最初の海外ですか?

堀大輔

大学時代にイタリアに旅行に行ったことはありますが、生活・働くという意味では初めての海外でした。

開志専門職大学

どのような印象を持ちましたか?

堀大輔

非常に多様な人々が集まってきているということが印象的でした。EUの中のいろんな国や中東・インドなど。

開志専門職大学

戸惑いはありました?

堀大輔

そうですね、それぞれの人が違った背景を持っているので、日本のように「言わなくても通じる」ということは通用しないということに最初は戸惑いました。

堀大輔

とにかく言いたいことは言わなくちゃいけないと分かって、すぐに考え方を切り替えました。

開志専門職大学

英語はどうやって習得したのですか?

堀大輔

日本で英会話の学校に行ったり、TOEICの勉強をしたりしました。でも、それでしゃべれるかというと、十分ではなかったです。

堀大輔

ロンドンに赴任して最初の頃、化学メーカーとミーティングがありました。その時に専門用語が多く、何を言っているか分からなくて、これは(英語を)なんとかしなくてはいけないと思いました。

開志専門職大学

焦りますね、それは。

堀大輔

もっと若い時期、例えば高校や大学で、海外に出ていればと後悔しました。でも、ときすでに遅し、でした。それで必死に勉強しました。

開志専門職大学

海外生活を経験して良かったことは?

堀大輔

視野が広がったことです。感覚とか考え方が違う人と働くことで自分が成長できたと思います。

堀大輔

それからパーティーに行くと、「日本ってどんな国?」と聞かれることが多かったのですが、そういう質問に意外と答えられないことに気付きました。

開志専門職大学

実は日本のことを知らないと?

堀大輔

はい、日本人のアイデンティティーとは何だろうって考えるようになりました。

開志専門職大学

海外に出て気付くことはいろいろあるということですね。

堀大輔

いろいろな人と知り合いになれることで、友達が世界中に広がったことも良かったです。仕事をやっていく上で外国のことを知らなければならないし、やはり海外に出て正解だと思いました。

堀大輔

ただし、もっと若い学生時代に出ていたらさらに良かったと思います。

アメフトに熱中した大学時代、「どうやって勝つか」 戦略を練ることが今の仕事にも通じる。

開志専門職大学

次にアメリカでも働いたのですね? イギリスとの違いは感じましたか?

堀大輔

それはありましたね。私が行ったのはシカゴです。非常に保守的なエリアで、「アメリカがナンバーワン」だと多くの人が思っているようなところでした。

堀大輔

アメリカもまた多人種の国なのに、皆がいろいろな国から集まって来ていても、アメリカに属しているというアイデンティティーの意識が強いと感じましたね。

堀大輔

また、シカゴ自体は大都市ですけど、地方に行くとアメリカのことしか知らない人も少なくありません。パスポートを持っている人の割合が低いのもアメリカの意外な実態です。

開志専門職大学

それだけアメリカは広大で地域によって全然違う顔を見せるということなのでしょうね。

開志専門職大学

さて、堀さんはどちらのご出身ですか?

堀大輔

北海道の旭川出身です。15歳で函館の高校に進学し、寮生活になりました。

開志専門職大学

どういう学生でしたか?

堀大輔

中学ではバスケットボール、高校ではラグビー、大学ではアメリカンフットボールの部活に熱中していました。

開志専門職大学

スポーツマンなのですね。

堀大輔

大学時代はほぼアメフトしかやっていませんでした。部活の拘束時間が昼の12時から夜の9時まで。ですから、本当にアメフト中心の生活でした。

開志専門職大学

将来は何になろうと思っていましたか?

堀大輔

何も考えていなかったんです(笑)。

開志専門職大学

アメフトのことだけ?

堀大輔

アメフトの戦略を考えるのは好きでした。相手チームのことなどを分析して、どうやって相手に勝てるのか、そういうことを常に考えていました。

開志専門職大学

まるでどの会社の株式が上がるか分析する、今のお仕事と一緒ですね。

堀大輔

そうですね(笑)。

経験してほしいのは旅行より海外で何かに取り組むこと 部活を通して組織運営を学ぶこと。

開志専門職大学

アメフト中心の大学生活の後に、保険会社に就職を決めたのはなぜですか?

堀大輔

保険以外にもいろんなことをやっている会社だから、自分もいろんなことが経験できそうだと思ったからです。

開志専門職大学

そして、今は株式の投資をしているということですね。

開志専門職大学

さて、大学ではアメフト中心の生活だったという堀さんから、これから大学生になる皆さんに「4年の間にこれをやっておくべき」とアドバイスするとしたら何と言いますか?

堀大輔

1つは僕自身ができなかったことですが、海外に出ることをお勧めしたいです。価値観が違うということをしっかり感じて受け止めてほしいと思います。

開志専門職大学

旅行ではなく?

堀大輔

できればワーキングホリデーのような制度を利用してほしいですね。ただ、旅行して帰るのではなくて、現地で何かを経験することを目的にしてほしいと思います。

堀大輔

あとは部活に深く関わることもお勧めします。部活を通じて組織を運営するということが学べます。

開志専門職大学

アメフト部もそうでしたか?

堀大輔

はい、僕たちのクラブにはきちんとしたコーチがいたわけではなくて、学生が主体性を持って部を運営していました。それによって組織のマネジメントを疑似体験できました。

株式投資で、世界で認められる存在になるのが夢 常に新しい感覚と情報に敏感な姿勢を。

開志専門職大学

堀さんの仕事の上での究極の目標とは?

堀大輔

株式投資に携わる日本人として、世界で認められる存在になりたいです。

開志専門職大学

投資家で一番有名な人と言えば?

堀大輔

ウォーレン・バフェットですよね。彼は80代です。

開志専門職大学

堀さんは今何歳ですか?

堀大輔

42歳です。

開志専門職大学

ということは、これから40年以上、活躍できるわけですね。知識と経験が増えると株式投資の仕事に有利になるのでは?

堀大輔

実はそうとも言えません。若い方がシリコンバレーにあるような変化が激しいIT系企業の分析に向いている側面もあります。

開志専門職大学

それでは新しい感覚や情報に常に敏感でいないといけないですね。最後に、開志専門職大学での特別講義ではどのようなことをお話いただけますか?

堀大輔

チャレンジすること、努力することの重要性をお話したいです。

開志専門職大学

堀さんのお仕事に関わるお話は?

堀大輔

今の企業が求められていることをお話しします。自社の利益だけを考えるのではなく、社会にある問題をどうやって解決するのか、どういう見方や行動が必要か、そのことについてお話できると思います。

開志専門職大学

自分の利益だけを考えるのではなく社会貢献を考える、それは企業だけでなく個人にも言えることですね。

開志専門職大学

それでは、特別講義を楽しみにしています。よろしくお願いします。

特別講師 堀大輔氏
ニッセイ アセット マネジメント株式会社
株式投資アナリスト・ポートフォリオマネージャー

1976年生まれ。北海道旭川市出身。函館の高校を卒業後に東京大学法学部に入学。アメリカンフットボール部で活躍。大学卒業後は日本生命に入社し、グループの資産運用会社ニッセイアセットマネジメントで株式投資のアナリスト、また顧客から預かった資産を適切な方法で投資、運用するポートフォリオマネージャーの業務に当たる。2005年から2009年にかけてイギリスのロンドンとアメリカのシカゴに海外赴任。

インタビュー:福田恵子
撮影・動画:安部陽二

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特別講師紹介

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